「お先真っ暗な住宅業界 パートⅢ」
先々月も先月のブログも同じ文章で書きだしましたが、「お先真っ暗な住宅業界」。
あれから1ヶ月が過ぎましたが、状況は全く変わってないです。
最近になって、コロナ禍前と後での違いを具体的な数字で聞く機会がありましたが、厳しいですね。
国交省や住宅関連の新聞社が発表する数字を見ていると、住宅の着工数や販売棟数はだいた前年対比10%ダウンの数字が並んでいますが、実際の中小の工務店の数字をお聞きすると、予想以上に厳しい数字です。
ある地域No1だった工務店さんは、
「コロナ禍前は、年間70棟の受注があったが、コロナ禍後は、年間30棟まで落ちてしまった。」
とか、
別の地域の工務店さんは、
「コロナ禍前は、年間平均12棟の受注があったが、コロナ禍後は年間5棟まで落ちてしまった。」
とお聞きしました。
約60%のダウンです。
実際にこうして生の数字を聞くと、「ゾッ」とします。
大手ハウスメーカーも前年対比40%くらいダウンしている会社もあります。
現場の第一線で活躍している経営者や営業幹部から具体的な数字をお聞きすると、住宅業界の厳しさがひしひしと伝わってきます。
そんな中でも、私が最近、感じているのは、「規模が小さい工務店」が、結構、元気に仕事をしています。
元請け、下請け、リフォームや修繕仕事で忙しくされています。
「社長、新築の仕事がないって悩まれている工務店が多い中、忙しそうですね?」
って声を掛けると、
「おかげさまで、色々と声を掛けてもらってるからね。小さな工務店だから、仕事を選んでられないよ。元請けも下請けも小さな修繕仕事でもなんでもやるよー。」
「気に入らない客先の仕事はやらないけどさー(笑)」
と元気な声が返ってきます。
忙しいのは「小さな工務店」だからこその強みを活かしているからです。
私が「襖・障子・畳・網戸の張り替え屋 和紙屋」を始めてから気づいて「小さな工務店」の強みを今回はご紹介します。
和紙屋が選ばれている意外な理由① 「自宅で仕事を行っている」
ある網戸の張り替えのご依頼をいただいたお客様と話をしている時に、いつもの調子で和紙屋を選ばれた理由をお聞きしてみました。
そしたら、
「自宅でやっているでしょ。それが一番の理由かな?」
と言われました。
私は全く予期していなかった理由に、思わず、
「えっ、自宅でやっているのが理由ですか?店舗も借りずに自宅でやっていると、規模が小さすぎて、逆にこのお店、大丈夫かなって心配になりませんか?」
とお聞きしたら、
「いや、自宅だから信頼できるよ。あれだけ、ホームページに自宅の住所や写真を出していたら、逃げられないじゃない。だから騙したり、誤魔化すことはしないと思うから逆に安心するよ。」
との事。
思いもしない選ばれる理由でした。
和紙屋が選ばれている意外な理由② 「大見さんだから」
私の名字は「大見」と言います。私が住んでいる愛知県安城市新田町という地域は、「大見」という名字が非常に多いです。
「大見さんは、新田町の人」というのが当たり前になっています。
だから、和紙屋に問い合わせをいただき、名刺を出した際に、
「決して怪しいものではありません。大見と申します。」
と挨拶をすると、
「大見さんだから新田だよね。だったら地元の人だよね?それなら安心だわー。怪しい人ではないね。」
と言われ、商談が最初からスムーズに進みます。
大見という名字でここまで信頼を得るとは思いもしなかったので、先祖に感謝です(笑)。
その地域によくある名字であれば、それだけで安心につながり、選ばれる理由になります。
和紙屋が選ばれている意外な理由③ 「家族経営でやっているから」
チラシに掲載されているスタッフ写真を見て、「家族でやっていそうだから、個人店だろう。」と思い、問い合わせをされたお客様もいらっしゃいます。
誰が担当してくれるかわからない大手企業に不安を感じていたそうです。
そういった方が、一定数います。
最近は、妻とお客様宅に伺い、障子や襖を引き上げさせていただく事が増えています。
一人で障子と襖を外して、クルマに積み込むよりも、二人でやった方がスムーズに安全に運べる事に気づいた事と、私とは違った視点でお客様と話をするので、仕事の幅が広がる事があるからです。
以前は、妻と仕事に行く事に抵抗がありました。
理由は、組織でなく個人でやっていると思われ、不安を抱かれるかなと思っていたからです。
でも、今は逆に家族でやっている事が強みなると気づきました。
お客様は、
「家族でやっているからいい加減な仕事はしないだろう。」
「長年、信用第一でやっているだろうから安心」
と想像してくれているようです。
大きな組織ではなく、個人経営・家族経営が強みになっているわけです。
和紙屋が選ばれる答えはお客様が持っています。
私が「和紙屋が選ばれている意外な理由」になぜ、気づいたかと言うと、「お客様に聞いたから」です。
答えはお客様が持っています。
お客様に聞かなければ、①自宅でやっている事、②大見という名字、③家族経営といった「小さなお店、個人経営の会社の強み」には気づかなかったと思います。
住宅業界を取り巻く環境は、最初に申し上げた通り、非常に厳しいです。
そんな中でも、勝機を見つけて勝ち残っていかなければなりません。
大手企業には真似ができない良い点が小さな工務店にはあります。
その一つの答えを今回は書きました。
和紙屋と同様に地元密着で、家族や夫婦で経営している工務店やリフォーム店は、たくさんあると思います。
和紙屋と同じように販促を組み立てれば、まだまだ地域の住民のみなさんから必要とされ、お仕事をいただけると思います。
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長くなりました。
今月はココで終わりにします。
来月、またお会いしましょう。
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